今季ECL(ヨーロッパカンファレンスリーグ)に珍しいチームが参加していることを皆様はご存じだろうか。今回はリヒテンシュタイン勢として初のUEFA主催国際大会に出場したFCファドゥーツについて話していきたい。
本拠地を置くファドゥーツとリヒテンシュタインについて
ファドゥーツはリヒテンシュタイン公国(隣国はスイスとオーストリア)の首都であり人口は2013年時点で5372人。
EUには入っておらず欧州経済領域や欧州自由貿易連合に所属している。国全体の人口も39000人(2020年)と世界的に見てもかなり少なく所謂ミニ国家のひとつと言えるだろう。
国土は160㎢であるからか国内リーグが存在せず領土内に本拠地を置くクラブは全てスイスリーグに参加。大抵は2部以下に所属していることが多いがその中でもFCファドゥーツは1部経験があるなどずば抜けた成績を残している。
チームの歴史
ファドゥーツは1932年2月14日に設立され、当初はオーストリアの下部リーグに参加していたが、33年からはスイスリーグに参加し現在に至る。
1949年には国内サッカー最高レベルの大会にしてカップ戦であるリヒテンシュタインカップ(1945年に開始)を初制覇。
カップ優勝チームは国際カップ戦に出場が可能。1992年に初めて欧州の舞台に足を入れたが2022-23シーズンまで予選突破することはなくいつも予選で姿を消していた。
長年スイスリーグで活動するも所属するディビジョンは3部以下がほとんどであった。が、2001-02シーズンに2部に昇格するとそこからは3部に堕ちることはなく安定した成績を残した。
2007-08シーズンはバーゼルからレンタルで加入したヤン・ゾマーの活躍もあり初の1部への昇格を決めた。チームは1シーズンで降格してしまうがその後も何度か1部に昇格している。
チームの特徴
越境参加しているチームは数多く存在するが(ASモナコ等)ファドゥーツはあくまでも「ゲストクラブ」である。つまりスイスカップには参加せずスイス枠として大会に出場することができないということだ。
カップ戦を優勝すれば予選には出場できるがそれはECL(ECLができるまではEL)予選の出場権。国内リーグでどれだけいい成績を残そうがCLに出場することはできない(というかまず1部リーグで8位以上になったことすらないのだが)。CLに出るにはECLを制覇しELに出場しELを優勝しなければならないという特殊な状況に置かれている。
リヒテンシュタインのクラブだがリヒテンシュタイン国籍の選手は少なく(今季は5人)、ほとんどがスイス国籍の選手だ(といってもオーナーや幹部、監督等の裏方、スタッフはリヒテンシュタイン国籍の人物が多くいるが…)
主な所属選手
#4 ニコラス・ハスラー
父にはリヒテンシュタイン歴代最高の選手だったライナー・ハスラーを持つサラブレッドで、今季トゥーンから加入。MLSでのプレー経験もあるMFで2017年以来5年ぶりの復帰となった。
代表でも長く活躍する重鎮でECL予選には全試合出場、チームの本大会出場に大きく貢献。
#10 トゥナハン シチェク
2019年からプレーする10番でトルコにルーツを持つFWで予選のラピドウィーン戦で値千金の先制弾を沈めた。このチームのエース的な存在だ。
#1 ベンジャミン・ブッヒェル
リヒテンシュタイン代表でも守護神を務めるキャプテン。代表では長年イェーレの第2GKだったが彼の引退ともに定位置を奪取。
長くイングランド下部でプレーしていた経験を持つ。
参考文献/使用写真
FC Vaduz – wikipedia
ファドゥーツ -wikipedia
Yann Sommer:Held von Bukarest spielte einst in Vaduz – Liewo
Nicolas Hasler zurück zum FC Vaduz
FC Vaduz Official Twitter
Vaduz reclaim crown with emphatic victory – Uefa.com
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